- Q1幼児教育とは何ですか。
- A1本園では、「子どもの未来の姿をより良くするための関わり」と定義しています。
- Q2認知能力とは何ですか。
- A2知ったこと。覚えたこと。理解したこと。できるようになったこと。学力。テストで測ったり数値化したりできる知的な能力。知能検査で測定することができる能力。
一人でも獲得ができ、人から教えてもらっても獲得ができます。教える側の教え方が良いと教えられる側は効率よく獲得ができます。到達・達成目標で獲得し、結果が〇か☓で能力の有無を判断できるため、能力の有無や程度を目で容易に見ることができます。 - Q3非認知能力とは何ですか。
- A3認知能力以外の能力の総称です。本園では一般的には認知能力とされている能力のうち容易に獲得することが難しい感覚的な力も含めて非認知能力と定義しています。以下、理解促進を目的として同じことも言い方を変えて重複させて記載してあります。
社会情動的スキル、心の力、愛着、基本的信頼、安心、一人でいられる力、情動の分化、自己肯定感、自己有能感、自制心、自律心、自尊心、自信、忍耐力、ネガティブ・ケイパビリティ、レジリエンス、環境の理解、臨機応変な対応力、意欲、知的好奇心、向上心、自立心、主体性、学びに向かう力、探求心、グリット、実行機能、我慢する力、表現力、創造力、集中力、感覚、楽観性、計画性、自己解決能力、共感性、感情抑制、思いやり、優しさ、心の理論、客観的な力、協調性、道徳心、規範意識、社会性、など。人生を豊かにする一連の能力。自分を大切にし、自分を高めていくための力。集団の中に溶け込み、他者との関係を作り、関係を維持していくための力。集団での行動の中での困難や失敗、挫折などの経験をとおして養われるものが多い。認知能力を実務に反映させるための力。同程度の認知能力がある大人でも、仕事のできる人と仕事のできない人に分かれますが、その差は幼児期に獲得した非認知能力の差です。
園でも家庭でも乳幼児期の子どもに対する大人の関わりは方向目標で行い、子どもは主体的に活動をすることで効率よく質の高い非認知能力を獲得できます。人から人に非認知能力を教えることはできず、子ども自身で体験をとおして分かる必要があります。活動の結果より、プロセスの段階で獲得するものがほとんどであるため、主体性を保証し、プロセスの質を高めることが大切です。大人が子どもに結果である正解を教えるとプロセスを飛ばして結果へ移行してしまうため、正解を教えれば教えただけ非認知能力の獲得は遠のきます。非認知能力は見えない学びと言われており、長時間子どもを観察しないと見えてこない、又は目に見えにくい能力です。 - Q4非認知能力を重視する理由を教えてください。
- A4認知能力は、0歳から高齢になるまでいつでも獲得できる能力ですが、幼児期に獲得した認知能力は将来の幸福に影響を与えないことが分かっています。しかし、多くの非認知能力は、主に乳幼児期でしか獲得ができない能力ですが、乳幼児期に獲得した非認知能力は、人生を良い方向に変え、未来の幸福度を大きく向上させることが分かっています。乳幼児期に獲得できた分の多くの非認知能力で、人は一生を過ごすことになるため、乳幼児教育は人生を大きく左右させる重要なものです。
世界各国で行われてきた研究結果を見てみましょう。幼児期に非認知能力の獲得のための教育を受けた場合と、受けなかった場合とを比べると未来がどう変わるのか40年の追跡調査を行ったペリー就学前プロジェクトを紹介します。その調査で、教育を受けた場合は受けなかった場合よりも40年後の未来が幸福になると科学的に証明されました。当時の子どもの40年後の雇用率、収入、持ち家率、資産、学歴、生活保護受給率、犯罪率、学校中退、留年率、逮捕率、暴力犯罪率、麻薬犯罪率など様々な面で優位な大差が出ました。幼児教育は、全年齢別の教育投資効果が圧倒的に高いことも明らかになっています。教育にお金を掛けるべきときは乳幼児期なのです。この研究では幼児教育で獲得したどのような能力が将来に幸福をもたらしたのかも研究されました。その結果、幼児期に獲得した認知能力のアドバンテージは、就学後全て消滅することが明らかになりました。これは、幼児期により多くの認知能力を獲得しても、子どもの未来はより豊かにはならないことを意味しています。それと同時に、認知能力以外の能力である非認知能力が将来の幸福度に影響を与えていたことが分かったのです。この研究結果は、日本が幼児教育・保育の無償化に踏み切った大きな理由の1つとなっています。この研究から、大人が子どもへの接し方は、認知能力の獲得のための関わりではなく、非認知能力の獲得のための関わりをすることが重要とであるということが分かります。
他の様々な調査においても結果は一致しています。自由あそびを核とした保育と、ドリル式の保育を比べた場合、ドリル式の時間が長ければ長い程、将来の学力は下がります。運動能力も同様で、自由あそびと運動の専門指導を受けることを比較した場合、専門指導の時間が長ければ長い程、将来の運動能力が下がることが様々な国で同一の結果で証明されています。この研究からは次のようなことが分かります。自由あそびは主体的な活動であるため、子どもは頭を使い、考えることを継続し続けます。受け身の学びであるドリルや運動の専門指導の場合は、子どもは言われたことを実行するに留まるため、あまり頭を使いません。頭を使うか否かが将来に影響を及ぼしているのです。子どもがどうしたら頭を使うかは、主体的な活動に勝るものはありません。
また、子どものときの自制心の差が、将来の学力や収入に大きな影響を与えることが分かる研究が多数あります。それらの研究では、幼少期の自制心は将来の学力や収入に多大なる影響を及ぼし、その影響は生涯継続するということが分かっています。日本の最先端の実行機能の研究でも、未来の利益を獲得するための根性論ではなく、主体的に今を我慢する力は、遺伝による要素と幼児期に獲得した要素のみで構成され、幼児期(臨界期)以降の訓練では一切獲得ができないことが明らかになっています。そのため、幼児期に子どもが客観的に物事を理論的に考えて、主体的に我慢できるようになるということがとても重要です。主体的な我慢を阻害する要因は大人からの指示と禁止です。「我慢しなさい」という一言を子どもに浴びせると、子どもは理論的に考えることを止めて感情的に癇癪を起したり、根性論の我慢を強いられたりします。子どもが自分で我慢が必要な理由を頭で考えて、自分から我慢することを決断し実行できるようになることがとても重要になります。自己肯定感→自己有能感→自制心の順に獲得が進みます。そのため、愛着がどれだけ安定しているかがかなり大きな鍵となります。
脳科学の研究でも結果は同じです。脳にはそれぞれの部位や能力において、多く効率よく獲得できる時期である感受性期があります。感受性期以前の時期や感受性期が過ぎると能力の獲得は難しくなります。幼児期が感受性期である脳の部位は、記憶と感受性を司る海馬です。感覚的な力が育まれ、それが記憶に刻まれる時期です。
脳に感覚が刻まれると、考えないで答えが出るようになります。スキップができる人は考えてスキップしませんが、スキップができずに大人になった人がスキップの訓練を受けた場合は、考えないとスキップができません。他の非認知能力も全てが感覚的な力であるため、考えないで高度なことの答えが何もせずに出るようになります。大人になって臨機応変な対応ができるか否かも幼児期にかかっています。臨機応変な対応ができる大人は、周囲の情報や他者の動きなどが自然と頭に入ってきて、考えずとも自分がすべき行動を決断することができ、気付く能力に長けている人です。臨機応変な対応ができない大人は、気付くことができず、周囲の状況から自分の行動を整理する能力がありません。幼児期に、主体的に周りを見て、気付いて、判断するという一連の行動が重要であるかが分かります。世界のほとんどの国が6歳から小学校が始まる理由も感受性期で説明することができます。それは、音・言葉をキャッチして理解することを司る聴覚野の感受性期が6~10歳であるためです。聴覚野の感受性期は認知能力が良く育つ時期です。ところが、幼児期に聴覚野(認知能力)を育てようとすると、効率が悪くとても時間がかかるだけではなく、何も教なかったとしても小学生になれば誰にでもできるくらいの認知能力しか育ちません。更に、海馬(非認知能力)を育てる時間が減ることで非認知能力が乏しくなり、海馬(非認知能力)の感受性期は過ぎ、それ以上育てることが難しくなってしまいます。教育で育てる脳の箇所は、感受性期に合わせることが最も効率的で理にかなっています。
心理学の研究でも結果は一致しています。「乳幼児教育に必要な知識=心理学」と言える程、心理学はとても重要です。乳幼児の検察研究や心の治療を行った研究者が共通して見出しているのは、生れた直後は母子一体の世界に生きている赤ちゃんが、少しずつ「自己」の感覚を育て、歩行や言語の獲得によって物理的・心理的な母子分離を進め、途中で揺り戻しの時期である再接近期を経て、3歳に達する頃には、母親が物理的に側にいなくても、一人でいられるようになる「個」としての自分を獲得するというプロセスです。このプロセスの最後の段階は「対象恒常性の獲得」という用語で表されることもあります。幼児教育が3歳から始まるということは、この「対象恒常性の獲得」と深く関連しています。この発達段階になると、たいていの子どもは、一定時間主たる養育者(多くはお母さん)と離れても、不安なときに自分を守ってくれる養育者のイメージを呼び出し、次に会えるときまで自分をコントロールして待つことが可能になります。それは同時に、明日も明後日も変わらない「じぶん」がある、という感覚をもつことと表裏です。そうして獲得された「じぶん」は、言葉を駆使して自分をなだめたり鼓舞したり、再会した母親に不在の間に経験したことを伝えたり、逆に家庭での経験を保育者や友達に伝えたりして、自分の内的世界を身近な他者と共有できるようになっていきます。言い換えれば、集団の中での学びが有効になるということです。子どもの身体は、生後、安全な環境の中で時間が経過さえすれば成長していきますが、「対象の恒常性」は、時間が経過すれば自然と獲得できるものではありません。そこに至るまでの養育者の子どもに対する関わり方がとても重要です。ある研究では、幼児期のテーマである自律性は、既に2歳のときには決定的に決まっているといいます。これは実証的な研究に基づく科学的根拠に基づいたものです。これらのことから、日本の幼児期の学校教育が始まる満3歳までの家庭での子育ての質は、幼児教育の基盤ともなり、人生を生きる人格・性格そのものに影響を及ぼす程にとても重要であることが分かります。また、全ての非認知能力の中で圧倒的に重要である愛着も2歳前にはかなりの部分が決まってしまいます。昨今、小1プロブレムが社会問題になっていますが、子どもに発達障害などの先天的な特性がない場合は、愛着の形成が原因であることがほとんどです。そのため、出産前に正しい知識を有した上で、子育てに臨むことがいかに重要であるかが分かります。
大人が子どもに禁止と指示を含め正解を教えることを積極的に行うと、子どもは自分で周りを見ることを止め、見なければ気付く力が下がり、考えなくなり、生まれ持って満ち溢れて持っているはずの意欲が減退してしまい、向上心が下がり、学びに向かう力が下がり、大人からの指示を待つようになり、総合的に頭を使うことが減ってしまいます。大人が子どもに正解を教えるという行為は、言い方を変えると、認知能力の獲得のための訓練と言えます。非認知能力は主体的な活動に取り組み、子ども自身で頭を使うことで獲得ができます。幼児期に獲得すべき認知能力は、非認知能力獲得を目的とした活動を行うに必要なだけで十分ですので、子どもが自分で気付く前に先手を打って正解を教えてはいけません。先手を打って正解を教える行為は、教えなければ未来に来るはずだった非認知能力の獲得を奪う行為なのです。
非認知能力を重視した子育て・子ども主体の保育を方向目標で行っていると、子どもは好きでやっているため、できるようになったらその先、次は更にその先と、終わりが来ません。その結果、認知能力獲得を目的とした子育てや教育・保育よりも好成績な認知能力を自分で獲得するようになります。また、それが一生続くのです。認知能力は大人が子どもに獲得させるものではなく、子ども自身で獲得するものです。しつけも認知能力獲得のためのものであるので、考え方は全く同じであるため方向目標で行います。
以上のことから、幼児期に認知能力の獲得を目的として、大人が子どもに教える子育てや教育・保育、ドリル式の反復練習をやらせることは、主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)と比較した場合、害以外のなにものでもありません。認知能力の獲得、非認知能力の獲得、どちらの側面から見ても、非認知能力の獲得に特化した子育てや教育・保育が、子どもの健やかな発達に寄与するのです。そのため、園の方針や保育形態は全てが子ども主体となっています。 - Q5方向目標とは何ですか。
- A5「興味・関心を育てる」「楽しく活動に取り組む」のように方向性だけを示し、ここまでという限定のない目標のことです。子どもの非認知能力を育むための方法です。
- Q6方向目標の方向を教えてください。
- A6園見学・入園案内のときに説明をしています。また、無料の幼児教育講座を定期的に行い、無料の個別相談(要予約)を随時行っています。
子育ては出産と同時に開始されてしまうため、出産前に正しい子育ての知識を得ることが理想です。方向目標の方向が分かると、子育ての悩みのかなりの部分が解消されます。考え方が分かればとても簡単で、子育てが今よりもずっと楽しくなり、子どもの発達も子どもの未来も親の負担も全てがより豊かになります。例えば、方向目標でおむつ外しをすると、誰もが満2歳頃には無理なく自然とおむつがとれます。トイレットトレーニングをする必要がなく早期におむつがとれることで親の負担も親の精神状態もお財布にも優しくなり、全てが子どものより良い発達へと返っていきます。
もし、養育者に正しい知識がない場合や勝手な思い込みによって、方向目標の方向が逆を向いていると、子育てを頑張れば頑張っただけ、子どものより良い発達からどんどん遠のき悪影響を及ぼしてしまいます。よって、子どもの発達や子育ての質は、養育者の知識の有無によって大きく左右されます。子育ては科学ですから、同じように育てれば同じように育ちます。現在分かっている一番良い正しい理論で楽しく子育てをしましょう。様々な方向目標の話を何度も聞いていく中で、徐々に分かっていく方がほとんどです。説明の内容は同じであっても様々な視点から話をしています。出産前からでも、気になったときからでも、いつでもいいのでご来園をお待ちしております。 - Q7方向目標の方向がまるで違っていました。正しい方向に直したいと思いますが、開始時期は子どもが何歳までなら間に合いますか。
- A7何歳になっても間に合わないということはありません。やろうと思ったときから始めれば子どもの未来はより豊かになります。ただし、開始時期が早ければ早い程(子どもの年齢が低ければ低い程)その効果は高まります。
- Q8非認知能力が重要であることは理解しました。非認知能力獲得のための子育てをしたいと思いますが、子どものへの対応の仕方や方向目標の考え方を理解することができません。解決策はありますか。
- A8音感やリズム感がない人が歌やスキップを教えられないのと同じで、感覚は感覚でしか教えられないため、養育者自身に非認知能力が備わっていないと、子どもに効率よく非認知能力を獲得させることは難しくなってしまいます。子どもは養育者の感覚的な力を自分の能力として獲得するため、養育者の愛着の型が子どもにも伝染したり、親子で同じような性格になったりします。養育者が特別なことをせずに素で子育てをすると「養育者の能力や性格=子どもの能力や性格」のように育ちやすいのです。養育者に非認知能力が備わっていないと、子どものあそびの様子から目に見えないプロセス(非認知能力)を感じ取る視点が分からず、現に目に見えている結果(認知能力)ばかりを見てしまいます。その結果、子どもの活動の結果(認知能力)を求めるあまり、ただ遊んでいるだけ、同じことばかりやっている、いつになってもできない、効率が悪いなどと思い、あれこれ口を出してしまい子どもの非認知能力の獲得が阻害されてしまいます。ですが、子どもに対する関わり方である方向目標の行動方法を厳守し、口出ししたくなる気持ちをぐっと抑えていただくだけで、子どもは自ら非認知能力を獲得していきますので心配ありません。重要なことは、正しい子どもへの関わり方の知識の有無と、その知識の獲得時期と、何が何でも方向目標で子育てをするぞ、という強い信念です。
- Q9子育ての質を最大限高めたいと思っています。アドバイスをください。
- A9子育てで一番重要なことは、子どもに関わる家族全員のメタ認知能力を高めることです。(メタ認知とは、自分の認知活動を客観的に捉えることであり、自らの認知(考える・感じる・記憶する・判断するなど)を認知することを指します。自分自身の思考を客観的に見ることで、自分自身を制御することができるようになり、冷静な判断や行動が可能になります。このような能力をメタ認知能力といいます。)メタ認知能力を高めることを阻害する要因は思い込みです。思い込みがメタ認知能力を阻害する結果、子育ての質の向上を妨げます。まずは、養育者自身の思い込みを疑うことから始めましょう。養育者は皆、自分の子育て方法が良いと思い、それを疑いもせず実行している方がほとんどだと思いますが、その良い子育て方法に根拠があるでしょうか。本当に今実践している育児方法は良い方法でしょうか。子どもの専門家が言っていることや専門書に書かれていることと一致しているでしょうか。自分が勝手に思い込んでいるだけの知識を疑い調べ直すことで、知識が正しければ自信に繋がり、知識が間違えていれば正しい知識へと変換することができます。その養育者が学びに向かっている姿やメタ認知によって獲得した自信は子どもへも伝染するという追加で良い効果もあります。
メタ認知で何を一番見直して欲しいかと言うと、子どもへの関わり方、子どもへ関わる姿勢、子どもに関わっている時間の長さです。子育ても乳幼児教育も環境をとおして行います。一番重要なことは人的環境である家族が子どもに良い関わりをすることであり、それをより高めるためのメタ認知です。
子どもにとって良い関わり方とは、子どもの生理的欲求を満たし、情動の発達を促し、愛着を形成し、生まれ持って満ち溢れている意欲・知的好奇心・向上心・学びに向かう力を可能な限り減らさないことを目標にすると、分かりやすいと思います。乳幼児期の家庭環境が子どもの健やかな発達の土台になるため、家庭環境が子どもの未来を大きく左右します。安心基地がしっかりと機能した環境(安全が保障されて家族からの無条件の愛情に支えられた環境)下で、若干先の発達を見据えた適切な物的環境の中で探索活動を十分に行うことが大切です。
園でないと育ちにくい非認知能力(集団や友達とのトラブル等をとおして獲得する社会性等)以外は全て家庭で網羅することが理想です。そのため本園では、家庭で獲得の難しい社会性を重視した教育・保育を行っています。 - Q10保育形態の種類について教えてください。
- A10自由保育 :行う活動の種類と内容を子どもが自由に決めます。コーナー保育を含めて自由保育とする場合もあります。Q11参照のこと。
設定保育 :活動の内容を予め先生が計画します。
コーナー保育:活動内容を先生が計画し、計画に沿って複数種類の活動ができるコーナーを予め作っておきます。行う活動は子どもが自由に選択できます。一斉でない設定保育です。Q12参照のこと。
一斉保育 :小学校のようにクラスの子ども全員に対して同時に設定保育を行います。一般的には一斉の設定保育ですが、一斉のプロジェクト型保育を行う園もあります。
本園では、英会話、プール、運動会、クリスマス会、卒業式のときに一斉保育を行いますが、1日の教育時間のうち限定した一部の時間でのみ行い、可能な限り一斉保育の時間が短くなるように、また、可能な限り子ども主体で物事が決まっていくよう配慮し、決して強要はいたしません。 - Q11自由保育とは何ですか。
- A11自由保育とは、子どもの主体性を尊重し、自由度の高い環境作りが重視され、子どもの自由意志に基づいて主体的にあそびに向かう保育を指します。自由保育においては、活動内容が予め定められていません。子どもが自発的に行うあそびや、子ども同士のコミュニケーションの時間を重視します。保育教諭は、子どもがあそびをとおして主体的に学ぶことができるよう子どもの興味や関心に合わせた環境設定をし、子どもの興味を引き出すための関わりを行い、子どものあそびに秩序をもたらします。自由保育の良い点は、子どもが主体的であるということです。乳幼児期に獲得すべき能力である非認知能力は主体的な活動をとおして獲得されるためです。自由保育は特殊な保育で個性的とおっしゃる方がいますが、古くから日本の質の高い幼児教育は自由保育とされ、全国全ての国立大学法人の幼稚園の保育形態は自由保育です。先生、子どものどちらの側面から見ても、一番難易度の高い保育形態ですが、子どもはとても良く育ちます。
本園では、明治の開園時から現在に至るまで自由保育を行っています。 - Q12コーナー保育とは何ですか。
- A12子どもたちがあそぶための複数種類のコーナーを予め設置しておき、その中で子どもが自分であそびを選択する保育を指します。コーナー保育の良い点は、子どもが主体的であると同時に、自由保育ではあそびに向くことが難しい子どもでも、目の前にあそびの環境が既にあるためあそびに向かい易いことです。子どもからすると自由保育よりも難易度が低い保育形態ですが、幼児期の終了までに育ってほしい幼児の具体的な姿を意識したコーナーを設置することで、保育教諭が子どもに意図的に触れてほしいあそびに子どもが主体的に関わりを持つことができるという大きなメリットがあります。同じ目的を持った子ども同士が一緒に活動することで、社会性、協調性、学びに向かう力等が身に付き、物事をやり遂げる力を育みます。
本園のコーナーでは使用できる教具の種類は限定されていますが、あそび方は限定されていません。そのため、子どもが自分であそびを選び、自分であそび方を見つけることで、主体性や創造性を育むことができます。本園では、従来のコーナー保育の保育形態のとおりに保育教諭が予め設置したコーナーのみをコーナー保育と定義しています。その他に、子どもが主体となって設置される「自由保育から派生したごっこあそびコーナー」、「プロジェクト型保育から派生したプロジェクトコーナー」等がありますが、これはコーナー保育には含めず、それぞれ自由保育とプロジェクト型保育に分類しています。 - Q13縦割り保育とは何ですか。
- A13縦割り保育とは、年齢毎にクラスを分けるのではなく、異年齢の子どもが一緒になって園生活を送る保育を指します。異年齢保育や混合保育とも呼ばれます。縦割り保育のねらいは、子どもたちが年齢の枠を越えて共に学び合い、成長していくことです。年下の子どもは年上の子どもの活動を見て学び、憧れを抱き模倣することで主体的に学びに向かいます。異年齢の子どもと関わり合うことで、社会性、協調性、思いやりの気持ちなどが育まれ、子どもの社会を築き上げます。また、クラス等の枠で子どもの集団や活動を限定してしまうと、幼児期は子どもの発達の個人差が大きい時期であるため、子どもの発達段階にそぐわない保育環境になってしまうことがあります。クラス(学年)の枠がないことによって、子どもは自ら自分に合った環境で自身の発達に見合った活動を行うことができます。
本園では、園庭では0~5歳児で、保育室内では主に3歳以上児と3歳未満児に分けて縦割り保育を行っています。 - Q14チーム保育とは何ですか。
- A141人の保育教諭が1クラスを受け持たずに、複数のクラスを複数の保育教諭が役割分担したり、小グループに分けてグループ毎に保育を行ったりする保育のことです。チーム保育の良い点は、多くの保育教諭の目で一人の子どもを見守ることがでたり、小グループの場合は一人の保育教諭が担当する子どもの人数が少なくなるため子ども一人ひとりに目が行き届きやすくなったりすることです。様々な目線から同じ子どもを見ることで子どもの発達や心情や精神状態をきめ細かく把握でき、子ども理解がより深まります。その結果、子ども一人ひとりに適した対応を保育教諭が共有することができ、子どものより良い発達に繋がります。その洗練された人的環境の中で子どもは安心して、自由にあそびに没頭できます。
本園では、主に3歳以上児と3歳未満児に分かれ、それぞれ子ども全員に対して保育教諭全員で教育・保育を行うことを基本とし、各コーナーには担当の保育教諭がいます。 - Q15プロジェクト型保育とは何ですか。
- A15オランダ政府教育機構が開発した幼児教育法です。あそび、生活、身近な自然の中で、子どもの興味・関心を抱いていることからテーマを見つけ出し、調べたり、深めたり、協同的に学んだり、様々なあそびに発展させます。あそびを徹底的に突き詰め、探求していく子どもを主体とした保育です。学びに向かう力、客観的な力、物事を突き詰めていく力、グリット、社会性全般等を育みます。一斉保育のプロジェクト型保育、縦割り保育のプロジェクト型保育、自由保育のプロジェクト型保育、等、保育形態は様々です。
本園では、自由保育のプロジェクト型保育で行っています。自由保育の中から子どものあそび・興味・関心・疑問からテーマを得て、子どもにプロジェクト化させたい希望がある場合に、そのテーマをプロジェクトコーナーに設置し、プロジェクトを進めていきます。自由保育の中で行っているため他のあそびによる誘惑が多く、参加する子どもには様々な非認知能力が十分に獲得されていてプロジェクトをこなすだけの認知能力が獲得できていることを前提とした上で、子どもの興味・関心とプロジェクトの内容が合致していないと継続参加が難しくなります。子どもにとって本園で一番難易度の高い保育形態です。子どもが自発的にプロジェクトへの継続参加ができることが本園での最終的な目標です。 - Q16保育ドキュメンテーションとは何ですか。
- A16イタリアのレッジョ・エミリア市から発祥したレッジョ・エミリア・アプローチという幼児教育法です。子どもがあそび・活動する様子、人・自然・モノとの関わりや学び・育ちの内容などを、写真とコメントで記録していきます。見えない学びである非認知能力の可視化をすると共に、文章だけでなく写真があることで、その場にいなかった人にまで、その時の状況がよく伝わります。保育者・保護者・子ども、それぞれに対話を生み出し、子どもの世界を広げて学びを豊かにすることができます。日本にも保育ドキュメンテーションを広めようとしている子どもの専門家が沢山います。現在のところ、保育ドキュメンテーションやポートフォリオを導入できている園は全国的に少数派ですが、導入ができている園は導入が可能なだけの教育・保育の力や質の高さがあると判断できます。
本園では、保護者への教育・保育の紹介、教育・保育の記録、カリキュラム・マネジメント、指導計画に利用しています。 - Q17インクルーシブ教育とは何ですか。
- A17子どもの多様性の尊重等を強化し、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能にするという目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みです。そこでは、障害のある者が一般的な教育から排除されないこと、個人に必要な合理的配慮が提供されること等が必要とされています。同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある子どもに対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要です。合理的配慮とは、障害のある子どもが、他の子どもと平等に教育を受ける権利を享有・行使することを確保するために、必要かつ適当な変更・調整を行うことです。
本園では、園内の至る所に合理的配慮、個別の支援を行える保育教諭が待機又は巡回しています。専門機関からのアドバイスや発達検査結果と園で行うカリキュラム・マネジメントをとおして、個別に発達の様子・特性・心情を分析し、合理的配慮、個別の支援の内容を個別に計画し、保育教諭間で共有しています。 - Q18カリキュラム・マネジメントとは何ですか。
- A18「社会に開かれた教育課程」の理念の実現に向けて、学校教育に関わる様々な取組を、教育課程を中心に据えながら、組織的かつ計画的に実施し、教育活動の質の向上につなげていくことです。
- Q19入園するまでに、家庭で行っておくことはありますか。
- A19戸外あそびができる年齢の子どもの場合は、園庭開放を利用して可能な限りあそびに来て、子どもと一緒に砂場で子どもと一緒に沢山あそんでください。園庭へのベビーカーの乗り入れも可能です。ベビーカーや抱っこで園庭を散歩していただくことも園に慣れるために役立つと思います。
- Q20予防接種否定派で、全ての予防接種を受けていません。入園はできますか。
- A20できません。感染予防のため、定期接種は全て行うことを前提として入園の受け入れを行っております。
- Q21Society5.0とは何ですか。
- A21サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)と言われています。一言で言うと、子どもの未来は親世代とは全く異なる社会になるということです。興味のある方は内閣府のHPをご覧ください。
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/